再生医療、韓国企業の闇

トリニティクリニック事案 — 15年間見過ごされた韓国企業の影

最初に言います。

これは、一つのクリニックだけの問題じゃない。

トリニティクリニック福岡だけを切り取って終わる話ではありません。

もっと大きい。

- 韓国の“ある1社のバイオ企業”が、15年以上かけて作ってきた構造の問題です。

しかも重要なのは、

韓国の再生医療全体の話ではない。

たった1社です。

1つの韓国バイオ企業が、日本国内でこの流れを長年作ってきた。

そこを間違えてはいけない。

そして、その構造は、普通の医療の発想では本来ありえないものです。

トリニティクリニック福岡

幹細胞治療後に健康被害。
入院例。
そして最終的に、厚生労働省による停止命令。

でも、これは突然起きた特殊な事件ではない。

前回、第27回でも書いた通りです。

日本の再生医療には、長年見過ごされてきた「構造」がある。

今回の件は、その流れの中の一つに過ぎない。

何が起きているのか。

流れは驚くほどシンプルです。

脂肪を採る。
韓国で培養する。
患者を送り込む。
日本で投与する。

——これだけ。

ハンドキャリーか。
冷凍輸送か

そんな話は本質じゃない。

問題は、“誰が医療をコントロールしているのか”です。

この構造の中で、日本側の美容クリニックや再生医療クリニックは何をやっていたのか。

実質的には、

韓国側企業から依頼を受け、
患者への投与だけを担う。

そういう役割です。

しかも、その対価は、

1件あたり3万〜6万円。

実際に、その金額で依頼していた。

そして、それを受ける日本側クリニックも存在していた。

つまり、

細胞の培養も管理も海外側。

患者の流入も海外側。

治療設計も海外側。

日本側は、

「投与部分だけ」を担う。

そういう構造が、長年続いてきた。

これ、本当に正常な医療なのか?

私はずっとそこに違和感を持ってきました。

本来、医療というのは、

医師自身が治療内容を理解し、
リスクを把握し、
細胞品質にも責任を持ち、
最終的に患者へ提供するものです。

でも、このスキームでは、

責任の主体が曖昧になる。

誰が細胞品質を保証するのか。

誰が安全性を確認するのか。

誰が最終責任を負うのか。

そこが、極めて見えにくい。

では、誰が治療内容を決めていたのか。

ここが重要です。

厚生労働省の指摘にもある通り、

治療内容そのものが、日本の医療機関側ではなく、その韓国バイオ企業側で決められていた。

患者も、そこから送り込まれる。

つまり、

日本の医療機関が主体ではない。

私はこれは、純粋な医療というより、

“細胞供給ビジネス”の構造だと思っています。

さらに言えば、一部では宗教団体的な集客構造まで絡んでいるとも言われている。

それでも、このスキームは成立してしまう。

なぜか。

制度の中に入っているからです。

委員会が承認する。
医療機関が投与する。
行政が受理する。

これで制度上は成立する。

でも、本質は何も見られていない。

前回も書きました。

日本の再生医療制度は、“箱”を見ている。

施設。
書類。
マニュアル。
形式。

でも、

患者に入る細胞の中身を、本当の意味で誰も見ていない。

無菌なのか。
本当に生きているのか。
機能しているのか。
安全性はどうなのか。

一番重要な部分が、完全に抜け落ちている。

現場ではどうだったのか。

これは推測ではありません。

実際にその場にいた看護師からの証言もある。

さらに、私自身にも過去に相談や依頼が来たことがある。

「これ、本当に大丈夫なんですか?」

そういう話です。

持ち込まれていた細胞の中には、

明らかに異常な状態のものもあったと言われています。

いわゆる、“コンタミ状態”。

通常の医療感覚なら止めるレベルです。

でも、止まらない。

なぜか。

止める仕組みが存在していないからです。

さらに深刻なのは、行政対応の時間軸です。

2023年に健康被害。

停止命令は2026年。

——この3年間、何を見ていたのか。

もしその間も同じスキームが続いていたなら、

3年間、リスクが放置されていたことになる。

これは軽い話じゃない。

しかも、こういう流れは今回が初めてではありません。

2010年前後にも、同じ“その韓国企業を中心とした流れ”の中で死亡事案が起きている。

そして、その問題が大きくなった結果、

再生医療等安全性確保法——いわゆる「安確法」が作られた。

でも、ここが一番重要です。

この韓国企業を中心とした仕組みは、

法律が出来たあとも、

何も変わっていない。

つまり、

15年以上、同じ構造が放置されたままなんです。

それどころか、

“法律を作る原因になった構造”が、

法律成立後も、そのまま続いていた。

これ、冷静に考えたら異常です。

だから私は、今回の問題を見てこう思っています。

安確法は、本当に機能していたのか

制度はできた。

委員会もできた。

審査もある。

書類も増えた。

でも、

一番危険だった構造が止まっていない。

ならば、

法律は現実を止められていなかったということです。

つまり、

「法律が存在していること」と、
「患者が守られていること」は、
まったく別なんです。

私はここまで見てきて、正直こう思っています。

もし本当に制度改正が出来ないなら、

中途半端な制度なら、

存在しない方がまだマシなんじゃないかと。

もちろん、誤解してほしくない。

私は再生医療そのものを否定したいわけじゃない。

むしろ逆です。

本当に再生医療を守りたい。

ちゃんと未来に残したい。

だからこそ言っている。

今の問題は、

「安全を守れているように見えてしまう」ことです。

委員会がある。
法律がある。
届出もある。
審査もある。

だから一般の患者さんは、

「国が見てくれている」
「安全なんだ」

そう思ってしまう。

でも現実には、

法律を作る原因になった構造そのものが、

15年以上止まっていない。

なら、それは本当に機能している制度なのか?

私はそこを問いたい。

中途半端に“安全に見える制度”の方が、

逆に危険な場合もある。

だから私は、

制度を残すなら、本気で改正するべきだと思っています。

院内CPCの完全許可制。
細胞品質そのものの評価。
培養技術者の実技確認。
無菌・生存率・機能評価の標準化。
現場技術者を含めた制度設計。

そこまでやらないと意味がない。

そして議論は、

アカデミアと行政だけで閉じてはいけない。

実際に患者を診ている臨床医。

何千件も細胞加工している現場。

事故リスクと毎日向き合っている技術者。

そういう“現場側”を入れて議論しないと、

また同じことが起きる。

私は、

「制度があること」ではなく、

「患者が本当に守られているか」を見ないといけないと思っています。

これは、トリニティクリニックだけの問題じゃない。

日本の再生医療の構造そのものの問題です。

次回。

この構造が、どうやって出来上がったのか。

なぜ15年以上止まらなかったのか。

誰が利益を得て、
誰が責任を曖昧にしてきたのか。

そこまで、全部掘り下げます。

 

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