
【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点
脂肪由来幹細胞をA D S C ・Adipose Derived Stem Cell
脂肪由来再生細胞をADRC・Adipose Derived Regenerative Cellといい、今回はこのADSCとADRCの ”中身” の違いについて議論したいと思います。
ADSCは脂肪組織に含まれる幹細胞で、下腹部周辺を5ミリほど切開し、脂肪(米粒2粒程度)を採取した脂肪組織から得ることができます。(脂肪吸引器にて100g〜400gと大量の脂肪を採取する方法もあります)
その脂肪組織から幹細胞を取り出して、幹細胞の数を増やす”培養”という工程を行い、増やした ADSC を疾患によっては1億個程度を静脈投与したり、 2 千万個程度〜を局所投与したりしているのが、脂肪由来幹細胞を用いた幹細胞治療になります。
一方、ADRC については「脂肪由来幹細胞」とよく再生医療をやってるクリニックのホームページなどで見かけますが、この ADRC は幹細胞を含む細胞群のことを言います。
ADRC は脂肪組織1gあたり30万個程度の細胞が得られるといわれています。その中には間質細胞、造血系細胞など多様な細胞が含まれていて、幹細胞は 2 % 程度であると言われています。
つまり一度の脂肪吸引が100g~400g程度だとすると、3千万~ 1億2千万個程度の細胞が得られ、含まれる幹細胞は60万~ 240万個程度だと考えられますね。
つまり治療効果を期待している脂肪由来幹細胞は、ADRC治療の場合
しか入ってないことになります。
ADSC は培養して幹細胞を増やすので、方法は色々ありますが培養することで複数回の投与を検討することができます。
ただし、増やす工程がある分、必要な細胞の数を確保するのに時間を要します。
ADRC は大量の脂肪組織が必要な為、脂肪吸引で100g〜400gと大量の脂肪を採取する方法しかなくリスクが高い反面、非培養の為、投与までがその日のうちに行われます。
培養して増やす工程がなく、吸引した脂肪組織から専用の機器を用いて抽出した成分をそのまま用いるので、基本的には1度の施術で1回の投与となります。
ざっと言うとこんな感じなんですがわかりますか?
次回はもう少し細く解析してみたいと思います。