
今回は日本再生医療学会前理事長、国立大学法人大阪大学名誉教授、また大阪府と共同でNakanoshima Qrossを運営する未来医療推進機構の理事長など再生医療業界の先頭に立って日本再生医療を牽引、再生医療業界で知らない人はいないと言っても過言ではない存在の1人である澤 芳樹氏がオープンされたクリニックについて今回は取り上げたいと思います。
2024年10月、そんな澤 芳樹氏がCTO(最高技術顧問)として指揮する再生医療(?)を中心とするウェルネス複合施設「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」が銀座にオープンしました。
クリニックURL:https://thehundred.jp/

提供される治療の看板メニューとなるのが、このブログでも多く取り上げている「幹細胞培養上清液」を用いた点滴治療です。
上清液を用いた治療は何から抽出した幹細胞かによって治療効果が違うと言われています。
一般的には脂肪由来/歯髄由来/臍帯由来などがあり、現在日本全国700ほどの医療機関で治療に使われています。
今回澤氏がオープンするクリニックで特別に提供すると謳われているのは、2011年京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞の技術を使用したヒト iPS 心筋シート由来の培養上清液です。
国から莫大な研究費の支援を受けた研究結果が、現時点では医薬品医療機器等法の承認を取得した製品が存在しないという状況で、死亡事故の発生によって問題となっている幹細胞培養上清液の点滴を行う自由診療クリニックで提供されることには、当機構として看過できない事実です。。。
※再生医療抗加齢学会は2023年10月11日
幹細胞培養上清液の静脈投与による死亡事故に直面していると発表し、再生医療学会は細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンスを発表しております。
U R L:https://www.jsrm.jp/news/news-14993/
澤氏は「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」オープンに伴うプレスを出したところ業界関係者などからS N S上などで大バッシングを受けて現在は公式HPから該当情報を取り下げているようです。

再生医療学会は本年3月19日に開催された再生医療学会総会で現在法律内外で行われている再生医療において検証型診療と無検証診療を棲み分けして、その上で無検証診療は抑制していくという方針を示しました。
U R L:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG17A0Y0X10C25A3000000/
このような声明を出しながら、一方で再生医療学会の顔とも言える澤氏は死亡事故の起きた上清液を用いた自由診療クリニックを立ち上げている。
このような状況が続くと再生医療に対する信頼はどんどん失われていき、必要とする患者様には治療が届かず業界そのものが萎縮する懸念があります。
当機構としても、今後の動向を注視し、慎重に対応を行ってまいります。