再生医療の死亡事故

1年で2件の死亡事故 — 厚生労働省医政局は何を見てきたのか

まず、事実からいきます。

2025年8月。
コージンバイオの細胞による治療で、死亡事故が起きた。

そして2026年3月。
韓国のバイオ企業が作った細胞を投与した医療機関で、また死亡事故

— 1年で2件。

しかも、ただの偶然ではない。
同じような構造の中で起きている。

さらに言えば、この韓国企業と医療機関については、過去にも死亡事故との関連が指摘されてきた。

そして、その流れの中で、再生医療安全確保法の成立にも影響を与えたと言われている。

それでも、また起きた。

ここを、ちゃんと考えないといけない。

これは偶然なのか?

違う。

構造だ。

起きるべくして起きている。

私はこの数年、厚生労働省医政局にずっと言ってきた。

「事故が起きてからでは遅い」
「制度そのものを見直すべきだ」と。

しかも、ただ批判してきたわけではない。

具体的な制度改正案も出してきた。

院内CPCの許可制。
細胞そのものの品質評価。
技術者評価。
培養工程の実技レベルでの確認。
細胞加工のトレーサビリティ強化。

現場から見えている問題点を、何度も提言してきた。

でも、現実はどうだったか。

後手。
ずっと後手。

そして、また事故。

もう一度言う。

問題は、“細胞”という言葉そのものじゃない。

問題は、

どんな細胞が、
どこで作られ、
どう運ばれ、
誰の責任で、
どんな品質のまま患者に投与されているのか。

そこなんです。

今の制度は何を見ているのか。

施設を見る。
書類を見る。
手順を見る。

もちろん、それも必要です。

でも——

肝心の「細胞の中身」を見ていない。

これが本質です。

「いや、加工施設は許可制でしょ?」

そう思う人もいるかもしれない。

確かにそうです。

設備も見る。
環境も見る。
マニュアルも確認する。

でも、それって結局何を見ているのか。

“箱”なんです。

中身じゃない。

本当に見るべきなのは、

その細胞がどういう状態なのか。
安全性はどうなのか。
品質は安定しているのか。
本当に患者に入れて大丈夫なのか。

そこです。

院内CPCも同じ。

外部の細胞加工施設も同じ。

結局、「細胞の中身を直接評価していない」という構造は変わっていない。

だから、制度上はOKになる。

書類上もOKになる。

手続き上も問題なしになる。

でも実際には、

何が患者に入っているのか、本当の意味では誰も見ていない。

——これ、怖くないですか?

だから私はずっと言ってきた。

院内CPCは、単なる届出制ではなく、許可制にすべきだと。

さらに言えば、施設だけではなく、

技術を見ろ。
細胞を見ろ。
培養そのものを評価しろ。

そこまで踏み込まなければ意味がないと。

そして、もう一つ強く言いたい。

今の再生医療の議論は、アカデミアと行政だけで進みすぎている。

もちろん学術も行政も大事です。

でも、本当に事故や品質の現実を見ているのは誰か。

毎日細胞を扱っている現場です。

実際に患者を診ている臨床医です。

何千件、何万件と細胞加工を行ってきた現場の技術者や細胞加工業者です。

そこを抜いた議論では、現実的な制度にはならない。

だから今後は、

現場で実際に再生医療を行っている臨床医。
大量の細胞加工実績を持つ技術者。
安全管理を経験してきた細胞加工事業者。

そういう“現場の知識人”を含めて、制度議論をするべきだと思っています。

机上の理論だけでは、患者は守れない。

でも、変わらなかった。

その結果が、今回の事故です。

これは、単純な現場ミスだけの問題じゃない。

制度の問題です。

そして、その構造を長年見過ごしてきた行政の問題でもある。

再生医療は、本来、人を救うための技術です。

だからこそ、私は何でも反対したいわけじゃない。

むしろ逆です。

本当にこの医療を未来に残したいなら、
本当に患者を守りたいなら、

「危険な構造」から目を背けてはいけない。

この第27回では、まずそこをはっきりさせたい。

そして次回。

韓国の細胞と、日本の医療機関。

その関係。
その歴史。
15年前から続く流れ。
なぜ同じことが繰り返されるのか。

そこまで掘り下げます。

そこに触れない限り、
何も変わらないと思っています。

 

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