石巻市立牡鹿病院病院長 阿部康二先生

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石巻市立牡鹿病院病院長

阿部康二先生

-阿部先生のご専攻とこれまでの再生医療への携わりについてご紹介いただいてもよろしいでしょうか?

私は、岡山大学脳神経内科学の教授を23年間務めた後、国立精神・神経センターの病院長を3年間務めました。その間、脳保護療法や脳卒中の遺伝子治療、再生医療、アルツハイマー病、血管性認知症、脳のアンチエイジング、神経変性疾患など、幅広い分野で研究と実践を続けてきました。岡山大学では、幹細胞移植を実際の患者さんに適用して、その効果を検討して参りました。今は、神経内科の病気だけでなく、美容やアンチエイジングの分野でも幹細胞の可能性を探っています。

-再生医療の現状と将来性について、先生のご意見をお聞かせください。

再生医療で特に進展しているのは、脊髄損傷の治療ですね。交通事故などで脊髄を損傷した患者さんに対して、再生医療の効果が確認されつつあります。また、脳卒中やパーキンソン病、多系統萎縮症、慢性疼痛などの神経疾患への応用も期待されています。これらの疾患は高齢化社会で増加しており、再生医療の重要性がますます高まっています。

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-再生医療を行う上で、最も重要な点は何でしょうか?

最も重要なのは安全性です。日本国内では、北海道大学や札幌医科大学、東北大学などで先端的な研究が進められていて、安全性を担保した状態で効果を確認することが求められています。効果を最大限に引き出すためには、細胞の品質やリハビリの併用が重要だと思います。

-再生医療業界の課題とその解決策について、先生のご意見をお聞かせください。

再生医療の課題としては、安全性の確保と細胞の管理の難しさがあります。自家細胞を使用することで、免疫抑制剤の必要性を減らし、管理の負担を軽減することが可能です。また、治療のタイミングや細胞の種類、数の最適化が重要です。将来的には、遺伝子導入による細胞の修飾も考えられますが、現時点では自家細胞を活性化して使用する方法が現実的です。

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-私たち一般社団法人再生医療安全推進機構の役割や求められることについて、先生のお考えをお聞かせください。

一般社団法人再生医療安全推進機構の役割としては、患者さんに対して安全で効果的な再生医療を提供するための情報発信や相談窓口として機能することが重要です。貴機構が公共的なサービスを提供し、安全性と効果を重視した再生医療の普及を目指す姿勢に期待しています。

-最後に、再生医療業界に向けてメッセージをお願いします。

iPS細胞の臨床応用が期待される一方で、自家細胞を活用した再生医療が汎用性や安全性の点で現実的です。特に、自家の幹細胞を活性化して使用する方法が、今後さらに広がる可能性があると考えています。

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